増補新版 ドリームキャストパーフェクトカタログ

悪夢のようなゲーム機競争を戦ったセガにも、最後の時が近づいていた。
このままSCEに市場を牛耳られてしまうのか?
立ち上がれセガ、ドリームキャスト、動くんだ!
セガ人は、まだ君を必要としている!


セガ史上最大の難局

 本書はセガ最後の家庭用ゲーム機・ドリームキャスト(以下、DC)を扱ったものです。シリーズ増補新版の定番、海外版ソフトとハードを完全網羅し、さらなる情報を盛り込んでいます。DCは前機種・セガサターンが抱えた負債を解消すべく、背水の陣で送り出されたゲーム機でありました。

 1998年に発売されたDCでありましたが「需要に対して十分なドリームキャスト本体が製造できない」(本書009ページ)不幸に見舞われ、かつてのセガ製ゲーム機と同じく初手でつまづいてしまいます。それを受けてか否かはともかく、DCの販売戦略は自虐的なイメージを押し出したものになりました。

ドリームキャストの使者

 そんなテレビCMに登場したのが湯川専務。本物の専務取締役であった彼はDCを代表するキャラクターとして活躍し、その販促に一役買いました。ただその自虐イメージは良くも悪くもセガの基調となり、後に「セガガガ」が発売されるのも無理からぬところ。しかし、

  • レトロフューチャーな世界観を持つリズムゲーム「スペースチャンネル5」
  • オープンワールドゲームを先どりした「シェンムー」
  • 生成AIが登場するはるか昔に生まれた対話型ゲーム「シーマン」

 など独自すぎるゲームがDCを彩りました。専用ソフトはハード生産中止以降も長らく制作され続け、ゲームを作りやすいゲーム機として(そのほとんどがギャルゲーだったとしても)一定の人気を保ったのです。

自前で作ればいい、どうだ、いい考えだろう

 海外においてセガは確固たるブランドイメージを獲得し、DCの販売台数も本国を凌駕するものでありました。しかし、主要なソフトメーカー・エレクトロニック・アーツ(以下、EA)との交渉が決裂し、EAの得意とするスポーツゲームを自社で開発する体制を取るも「EAブランドの持つ市場浸透力は依然として強く」(本書158ページ)、結果的に不利な状況となったのです。

 DCで忘れてはならないのは、インターネット接続可能なハードであったこと。まだ一部の利用に留まっていたネット環境の普及を推進すべく、DCを中心にしたインフラ整備やサービスなどを自前で行ったセガではありましたが、後に発売されたPS2のDVD再生機能が市場の要求に合致した結果、その先進性が受け入れられることはありませんでした。

ハードメーカーでもソフトメーカーでも、セガはセガ

 「ドリームキャス子」のモチーフとなったポップなハードデザインと先駆的な試みを盛り込みながらも高性能ゲーム機としてのアドバンテージを活用できず、2001年にDCは生産中止を迎えました。こうしてセガ製ゲーム機はDCをもって有終の美を飾ることとなります。

 先に述べた通りDCはソフト供給が長らく続き、「ファンタシースターオンライン」は日本発の人気オンラインゲームとしてその名を残しました。以降セガはソフトメーカーとして舵を切り、「甲虫王者ムシキング」や「龍が如く」などヒット作を生み出していきます。それらの根底にはDC以下、家庭用ゲーム機の遺伝子が受け継がれているのでしょう。

「増補新版 ドリームキャストパーフェクトカタログ」前田尋之 監修 2750円(税込)

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