現在休止しているスーパー戦隊シリーズで、複数あるティラノサウルス型のメカは時代の解釈に合わせてその姿を変えていました。「も〜っと!恐竜・古生物ビフォーアフター」(以下、本書)は恐竜や古代生物解釈の歴史的な変化を記述した本の二冊目です。

新発見に合わせて古代生物もアップデート
本書は、恐竜や古生物の復元が時代によって変化した点をビフォー・アフターとして紹介する一冊、その続編です。半世紀前に比べて現代の図鑑では、恐竜が怪獣のような姿から鳥類に近い姿に描かれてきました。それは恐竜化石研究の新発見と無縁でありません。
前作は主に中生代の恐竜や翼竜などを扱っていましたが、本書はさらに古生代と新生代の古生物を扱っており、具体的な姿の変化とともに、そこに至る研究者による説の変遷をメインにしています。古生物化石は発見数によってその復元図が大きく変動するわけで、そこが古生物の面白さといえましょう。
日本は恐竜の国、ではなかった時代?
「中生代の日本は海の底であり、恐竜は存在しなかった」との認識ははるか昔、福井県のように恐竜化石が発掘される状況が増えました。本書ではそんな日本産の恐竜を特集しており、始祖鳥と近縁のフクイプテリクスやテリジノサウルス科が日本でも発見されるなど、日本産恐竜も捨てたものではありません。
恐竜化石の新たな発掘によって、その生態が少しずつ明らかになってきました。「不自然に大きく膨らんだ腓骨(すねの骨)の化石」(本書045ページ)の解析でその個体が骨肉腫を患っていたことが判明したり、求愛行動の一環としてオス同士の闘争があった証拠など、現生生物と変わらない生活が垣間見られます。
バージェスモンスター、二転三転
近年、古生代の生物で有名になったのは「バージェスモンスター」と呼ばれたカンブリア紀の生物たち。アノマロカリスに代表される珍妙な姿はモンスターと呼ばれるにふさわしい存在ですが、一般化してから年月が経ち、ハルキゲニアのように上下が逆転するなど復元図が二転三転する生物は数多いのです。
「ターリーモンスター」と呼ばれるツリモンストラムに至っては「サカナとは言い切れないモンスター」(本書117ページ)としてその不思議な見た目に違わず、脊椎動物なのか、はたまた無脊椎動物なのか未だに結論が出ていない謎の生物であります。アノマロカリスですらその出自は不明瞭であり、研究が待たれる生物はまだまだ地層の中に隠れているのでしょう。
CT検査を受ける恐竜?
さて本書の魅力の一つは、学説に沿いながらも可愛らしく描かれた古生物のイラスト。特に先に述べた恐竜の病気に関する記述の中で、化石をCT検査したことに則って描かれたCTスキャンを受ける恐竜のイラストには、ありえないシチュエーションながら微笑ましさを感じさせます。
生きた姿が見られない以上、古生物の正解は判断できません。だからこそ、これからも古生物の復元図は変化し続けるでしょう。それに連れ「マチカネワニ=龍のモデル」(本書174ページ)説が説得力を持つ発見や、「カンブリア爆発」の定義など、古生物は謎とロマンを我々に与え続ける存在ともいえます。
「も〜っと!恐竜・古生物フォーアフター」土屋健 著 イースト・プレス 1980円(税込)