スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」

 現代においては、政治に関心がない人が多く見られます。それは政治というものがよくわからない苦手意識が大きいのではないでしょうか。「スター・ウォーズに学ぶ『国家・正義・民主主義』」(以下、本書)は創作物を手がかりに政治の仕組みを理解する一冊です。

スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」税込880(2026/04/18時点)

物語の中に秘められた政治を読み解く

 本書は「政治の本質を知らないと、アニメやマンガは楽しみ尽くせない」(本書5ページ)との考えの下、表題の「スター・ウォーズ」(以下、SW)など映画やアニメ、SF小説の中で語られる政治的部分を参考に、政治を構成する要素を解説するものです。

 IFの可能性を探るのがSFであり、本書で扱われているSF作家・ハインラインの著作のように、政治形態の変化を前提とした作品もあります。それは現実世界の政治を反映したものであり、カウンターを提示することでその姿を浮かび上がらせる効果があるといえるでしょう。

帝国はー、とーてもーわーるいー、のか?

 さて本書ではSWを題材に政治を探っていくわけですが、少なくとも「エピソード4」から始まる3部作では帝国軍が悪役となっており、見た目は勧善懲悪の内容として作られています。しかし、「エピソード1」からの3部作で銀河帝国が成立するまでの背景が語られます。

 そもそも皇帝となったパルパティーンが帝政を敷いたのは、それまでの共和制議会が機能していなかったから。その上、秩序の番人であるはずのジェダイによる失策で戦線が拡大し、結果銀河帝国の誕生を見るわけです。これは現実の古代ローマにおいて、カエサルによる共和制から帝政へ移行した流れをなぞっているといえるでしょう。

あえて言おう、独立したくないと!

 テレビアニメ「機動戦士ガンダム」においても、ジオン公国による地球連邦政府からの独立という背景があります。本書では、英国のEU離脱に関する事態をジオン公国の内部事情になぞらえて解説していますが、あくまでも著者による拡大解釈であり、知的遊戯の範疇に入ります。

 そこでは創始者ジオン・ダイクンが掲げ、急死してなお盛り上がった独立の機運を収拾すべく、モビルスーツによる攻撃で連邦軍に一矢報いた形を保ちつつ、ザビ家を悪役にして早期に戦争を終結させようとする様子が描かれます。少なくとも政治において政府内が一枚岩でない様子は、現実でもありうる事態ではないでしょうか。

すげ替えられてこその為政者

 本書では著者なりの分類で、政治における要素を列挙しています。民衆に祭り上げられた為政者(王なり大統領なり、国によって様々)がその人気を失って他の人物にすげ替えられるサイクルを描く「祭祀」の要素は世界共通であり、「選挙とは現代社会に不可欠な祭祀である」(本書94ページ)とその本質が息づいているといえましょう。

 「大事なことは、政治をどのように『面白がれるか』」(同203ページ)と語る著者のスタンスは一見不謹慎に見えますが、創作物を補助線に現実の政治を知ることは、国家が目指すイデオロギーに囚われることのないフラットな視点を獲得するのに有効な手段かもしれません。

「スター・ウォーズに学ぶ『国家・正義・民主主義』」岡田斗司夫 著 SB新書 880円(税込)

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