バッタを倒しにアフリカへ 夢をかなえたハカセの物語

バッタハカセ・前野ウルド浩太郎は昆虫学者である。
彼が研究するバッタは、農作物に被害を及ぼす災害級の害虫である!
その被害を食い止めるため、浩太郎は単身アフリカへ旅立つのだ!

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子どもが読んでも、バッタハカセは面白い

 本書は「バッタを倒すぜアフリカで」の前作、「バッタを倒しにアフリカへ」を児童書として再構成したものです。著者自身を「バッタハカセ」と呼称し、挿絵を追加してボリュームを減らすなど児童向けに読みやすくアレンジしていますが、それでもオリジナルの面白さは損なわれていません。

 幼少期から昆虫に親しみ、「バッタに食べられたい」(本書14ページ)夢を持った著者は昆虫学者になるべく努力をしますが、安定した収入を得るためには学者という職業はあまりにも門戸が狭かったのです。そこで著者はアフリカのモーリタニアに渡り、サバクトビバッタ(以下、バッタ)を研究するという賭けに出ました。

バッタハカセは辛いけど…

 モーリタニアにおいて、現地語はおろか公用語のフランス語すらおぼつかない状態でバッタの研究をすることになった著者。しかし現地での本格的な研究が行われていないことはチャンスでもあり、フィールドワークが性に合っていた著者には人生をかけるに値するミッションでもありました。

 しかしバッタが出現しないことには研究もできません。運悪く大干ばつに見舞われたモーリタニアではまるで研究者を避けるようにバッタの発生が止み、著者の希望を打ち砕くがごとく時だけが過ぎ去っていきました。迫る期限の中、彼を支えたのが地元の研究所長だったのです。

ウルドの名にかけて、バッタと戦おう

 そのババ所長は著者に「ウルド」の名を授け、絶対的な信頼を持って接してくれました。その期待に答えるべく一旦帰国し、初の著書発売イベントや京都大学のプロジェクト審査を受けながら、再びモーリタニアに戻ってきた著者の前に、待ちに待ったバッタ大群発生の知らせが届くのです。

 早速現地に車を走らせ、データを取りつつ「群れの行方をはばむため、今こそ秘密兵器をくりだすときだ」(本書159ページ)とばかりに群れに向かって全身タイツに身を包んだ著者が立ちはだかります。果たして、長年の夢はここで叶えられるのか?

バッタハカセよ、野グソを語れ!

 本書ではオリジナルにあった「リアル異世界転生」(本書オビ)と見まごうほどの、日本とかけ離れたモーリタニア文化に関する記述は少なくなっていますが、自らのためからバッタを研究することでその被害を防ぎ、国や人々への恩返しを果たそうと変化する著者の意思は十分に感じられます。

 本書はあくまでも児童向けに「ぜひあなただけのやりたいことを見つけて、がんばってね」(本書175ページ)と締められていますが、「僕に大切なことを教えてくれたもの、それが砂漠の野グソだ」(同66ページ)とのオリジナルにはないくだりを入れたのも、児童向けだからでしょうか。

「バッタを倒しにアフリカへ 夢をかなえたハカセの物語」前野ウルド浩太郎 著 光文社 1100円(税込)

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