かつて独自の雰囲気を持ったアーケードゲームを連発したゲームメーカー・データイースト。80年代から90年代のゲームを知る人ならばその名を覚えていることでしょう。今はなき同社の資料を集めたのが「データイーストのすべてⅡ」(以下、本書)であります。
「変なゲームは任せとけ!」の真実
本書は主にアーケードゲームで名を馳せたデータイースト(以下、DECO)の資料と関係者のインタビューで構成された一冊です。本書ではアーケードゲームの広告や企画書などを集め、同社の中核をなす情報を満載しています。中には占いマシンなどのアミューズメント筐体などもあり、ビデオゲームと並行して制作されていたのがわかります。
「変なゲームは任せとけ!」のキャッチフレーズで知られるDECOですが、当初は多岐にわたる事業の一つとしてビデオゲームがあり、「スペースインベーダー」のフォロワーである「アストロファイター」のヒットにより本格的にゲーム事業へ邁進することになりました。
さあ牛だ!デコゲーの宴
以降も「バーガータイム」「B-ウイング」、レーザーディスクゲーム「LX-3サンダーストーム」などヒット作に恵まれ、いつしか「デコゲー」と呼ばれた一連のゲームたち。それには同じシステムを用いても他社と一味違う雰囲気やセンスが起因しているのでしょう。
本書では数々のポップの中に(海外展開を意識してか)濃いめのビジュアルが見受けられ、デコゲーらしさがうかがえます。さらに最初期の格闘ゲーム「空手道」において、ボーナスステージで「さあ牛だ!」のメッセージとともに牛と戦う展開はのちの「ファイターズヒストリー」に受け継がれるほどのインパクトを持ちます。
我が前に敵は無し!カルトゲーを作った男
中でも「チェルノブ」「カルノフ」「トリオ・ザ・パンチ」は、ヒーローらしからぬカルノフの出で立ち、「我前に敵は無し」(本書90ページ)「羊の呪いか」のフレーズなど、様々な形で「これぞデコゲー」と長きに語られるカルトゲーでありました。
本書ではその全てに関わった人物・井伊俊一に話を聞いており、「他のメーカーがやらないことを考えるのが、趣味というところがあるので(中略)データイーストの社風(?)でそれに拍車がかかった感じ」(同92ページ)と、怪作が生まれた背景を語っています。
アニョ〜ン?シイタケの呪い…ではなかった?
そんなDECOも、アミューズメント機器「プリント倶楽部」で抱えた負債により倒産の憂き目を迎えます。(まことしやかに囁かれたシイタケ栽培事業の不振によるものではなかったとはいえ)もしもDECOがこの危機を脱していたらどんなゲームを生み出していたか、興味はつきません。
後期に稼働したパズルゲーム「マジカルドロップ」の続編が近年リリースされるなど、未だDECOの遺伝子が受け継がれている現在。本書はあくまでもアーケードゲームを扱っている内容なので、「ヘラクレスの栄光」シリーズなど家庭用ゲームの情報を収めた続巻が待たれます。
「データイーストのすべてⅡ」ゲーム文化保存研究所 編 電波新聞社 4950円(税込)