美少女脱衣麻雀スーパーガイド パソコン&家庭用ゲーム機編

 麻雀で勝てば美女(もしくは美少女)が脱衣してくれる、男子ならのめり込む事必至のゲーム、それが脱衣麻雀。「美少女脱衣麻雀スーパーガイド パソコン&家庭用ゲーム機編」(以下、本書)は主に家庭用ゲーム機で作られた脱衣麻雀を紹介した一冊です。


ゲームのビジュアル志向は脱衣麻雀から始まった

 本来脱衣麻雀は80年代のアーケードゲームに始まり、ハードそのものから構築できる関係上グラフィック性能を向上させるのはさほど難しくはありませんでした。かたや当時のパソコンでは性能以前にBASICによる描画機能が限定的であり、ゲームのビジュアルはお世辞にも良いとはいえなかったのです。

 それを覆したのは1986年作「まじゃべんちゃー・ねぎ麻雀」。「本作用にグラフィックツールから開発を始め(中略)1枚絵をグラフィック表示する手法を導入」(本書100ページ)し、当時のアニメ絵を意識したグラフィックが表示できるようになりました。以降、脱衣麻雀に限らずゲームビジュアルの進歩が始まるのです。

次世代ゲーム機にこそ脱衣麻雀はふさわしい

 家庭用ゲーム機に脱衣麻雀が現れるのは89年発売のPCエンジン版「麻雀学園」であり、アーケードゲームの移植作ゆえリアルタッチのキャラクターでありましたが、アーケードで人気となった「スーパーリアル麻雀」シリーズの移植版など、アニメ風の作品が主流となります。

 90年代に入り次世代ゲーム機が出揃ったころ、セガサターン(以下、サターン)が独自の年齢制限を設定しアダルトゲームの移植版を発売できるようになりました。そのほとんどは脱衣麻雀であり、アーケードゲームと遜色のないグラフィックと音声で「脱衣麻雀ファン必携ハード」(本書050ページ)となったのです。

健全なゲーム機のジレンマ

 さて、ファミコンやスーファミを発売した任天堂は、家庭用ゲーム機を老若男女にかかわらず楽しめるものとしたがゆえ性的描写に不寛容でありました。その基準において脱衣麻雀は不可能であるわけで、のちのPS1も同様のスタンスを保ち、それらゲーム機では(実質的に)脱衣麻雀は存在しません

 そんな中で特筆すべきはスーファミで発売された「美少女雀士スーチーパイ」(以下、「スーチーパイ」)。脱衣はなくとも当時人気の漫画家・園田健一によるキャラクターと、麻雀に勝つことで入手できるイカサマ技の導入で人気を博し、アーケード版「アイドル雀士スーチーパイ」では脱衣を(サターン版とともに)導入、同PS1版では脱衣を廃止するなど棲み分けをしながらシリーズ化していきました。

 しかし96年にはサターンの「18歳未満禁止」レーティングが廃止され、脱衣麻雀も下着までの脱衣に変更せざるを得なくなります。以降は「スーチーパイ」のように、ギャルゲーの延長線上として美少女の水着姿を拝む麻雀ゲームへの転換を果たし、制約の少ないパソコン用でさえも2010年代には衰退の一途をたどりました。

脱衣麻雀は世紀末の遺産か?

 家庭用ゲームの中でも徒花である脱衣麻雀がこれほど発展したのはなぜなのか。それは80年代のいわゆるロリコンブームと並走し、90年代のギャルゲーブームと付かず離れずの関係だったのとともに、グラフィックと麻雀のプログラムを用意できれば作れるコストの低さと、多くの男性を惹きつける題材による「早い、安い、美味い」を満たす好材料だった部分が大きいのでしょう。

 ともあれ倫理的な関係上、世の流れには勝てなかったのも事実。パソコンやビデオデッキなど、エロコンテンツがユーザー増加に寄与してきた中、その方法論が通用しなかった例を示したのが家庭用ゲーム機における脱衣麻雀の歴史なのかもしれません。(Re)

「美少女脱衣麻雀スーパーガイド パソコン&家庭用ゲーム機編」前田尋之 監修 ジーウォーク 1650円(税込)

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