カードゲームで本当に強くなる考え方

 大ヒットした「遊戯王OCG」以降、カードゲームは定番の遊びとして普及しました。次々と更新されるカード内容の中、本当に勝てる方法はあるのでしょうか。「カードゲームで本当に強くなる考え方」(以下、本書)はカードゲームで勝てる理論をまとめたものです。

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カードゲームで「勝つ」ためには

 本書はトレーディングカードゲーム(以下、TCG)「マジック・ザ・ギャザリング」のプロプレイヤーだった著者が、TCGで勝つための理論を記したものです。トランプや将棋などのテーブルゲームと違い、TCGは新作カードのリリースによって勝てる手法が変わってきます。

 さらにそのブランドも多様化し、ルールはもちろん同じではありません。そんな中、共通する必勝法は果たして存在するのでしょうか。「カードゲームの『地力』と言える(中略)変わらない基礎能力は、目に見えにくいだけで確かに存在します」(本書15ページ)と著者は語ります。

勝利の確率、本当か?

 TCGでは所有できるデッキ枚数が有限であることから、特定のカードを引き当てる確率はある程度導き出されますが、ゲーム内でそれが役に立つ局面はあまりないと言っていいでしょう。なぜなら「目の前の確率は大抵何かしらの条件付き確率」(本書56ページ)だからです。

 それではTCGにおいて確率は必要ないのか?「確率はいつも決定的な正解を教えてくれはしませんが、ぼんやりとした指標はくれます」(同66ページ)との通り、ある程度の参考にはなります。むしろその限界を知り戦略に組み込むことで有用な使い方ができるでしょう。

ゲームにおける思考の落とし穴

 TCGで勝つために確率と並んで理解しておきたいのは人間心理。人間は情報をありのまま認識するのではなく、何らかの思い込みを含めて取り込み判断材料にします。そこに認知のズレが生じ、結果を見誤ることになります。本書ではそのバイアスを認識させる章を設け、そこから勝ち方を見直していきます。

 たとえゲームに負けたとしても、そこから何を学び取るかが重要で「慣れてきたら、何かしら共通することが見えてきます」(本書123ページ)。それは具体的なカードのセッティングではなく、抽象的な自分なりの理論を構築することになるでしょう。

結局は、楽しむこと

 現在では公式大会も行われ、プロのゲーマーも存在するTCG。ゲームである以上勝利が重要視される中で、娯楽であるのを忘れがちであればこそ、本書のような理論書も生まれてきたわけです。しかし、本書の最後には「楽しむことが一番です」(本書161ページ)との言葉があります。

 現実では、TCGで侵略者を葬ったり世界の命運を決めたりすることはありません。それでもTCGを通して、勝つために思考を研ぎ澄ましたり試行錯誤をすることは、人生を楽しくする一歩につながると言っても過言ではないでしょう。

「カードゲームで本当に強くなる考え方」茂里憲之 著 ちくまプリマー新書 990円(税込)

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