超ファミコン

 家庭用ゲーム機、ファミコンが発売されてからもうすぐ40年になろうとしています。ダウンロード版などで当時のゲームを遊ぶのはさほど難しくはありませんが、そんなゲームたちがどういう位置付けにあったのか、今となっては知りようがありません。
 「超ファミコン」(以下、本書)は「ゲームそのもの以外の部分にも意味があるような、時代を象徴する作品もご紹介しています」(本書347ページ)というファミコンゲームのレビュー本です。

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クソゲーハンター、ファミコンを語る

 さて、本書の著者は「超クソゲー」でおなじみ、通称「クソゲーハンター」のお三方。ファミコンに対して素直に衝撃を受けた者、斜に構えた者、買ってもらえなかった者と三者三様ですが、ファミコンにハマったのは皆同じ。今回も変わらずツッコミを交えて愛あるレビューをつづってくれます。

 とはいえ、全てのゲームをレビューするのは不可能なので、前掲の基準に基づき、時代を感じさせるゲームたちが選ばれています。RPGでいえば、「ドラゴンクエスト」(以下、ドラクエ)は一作目と「Ⅲ」、「ファイナルファンタジー」にいたっては「Ⅲ」のみと、レビューを読めば納得できるセレクトになっています。

ゲームの進化を促した名作たち

 本書のレビューは発売日順に並んでおり、目的のゲームレビューがどのページにあるかで登場時期がわかるようになっています。特に「スーパーマリオブラザーズ」(以下、「スーパーマリオ」)が発売された85年から「たけしの挑戦状」が発売された86年末のラインナップを見るとファミコンブームの盛り上がりを感じられてゾクゾクします。

 そもそもファミコンは従来の家庭用ハードよりましな性能とはいえ、当時のアーケードゲームに比べれば天と地ほども性能差がありました。それでもアーケードゲームから移植されたタイトルがファミコンにはあったのです。大半はオリジナルに比べて見劣りするものでしたが、中には「グラディウス」や「ファンタジーゾーン」など、本来の面白さを損なわない絶妙なアレンジを施したゲームも発売されていたのです。

 ファミコンはそんなハードの制約があったからこそ、

  • それまでのアクションゲームの集大成とも言える「スーパーマリオ」が生まれたり、
  • 当時知名度が低かったRPGの教科書として機能した「ドラクエ」シリーズが登場したり、
  • ハードの性能を越えようとした「メタルスレイダーグローリー」が作られたりと、

 ゲーム制作者が挑戦しがいのあるハード足り得たのかもしれません。

やっぱり伝説のクソゲー語ろうぜ!

 突然ですが、
「たけしの挑戦状」
「高橋名人の冒険島」
「マインドシーカー」
 この三本のファミコンソフトの共通点は何でしょう?

 答えは、

  1. メジャーなゲームメーカー製の
  2. 有名人とコラボした
  3. クソゲー

 というわけで、本書は時代を象徴するクソゲーもレビューの対象になっています。しかし、そんなクソゲーでも数多く売れたのがファミコンブームという時代。前述のクソゲーを発売したタイトー、ハドソン、ナムコに限らず、さらなる売り上げを求めてメーカーが有名人の力を借りようとしたのも当然といえます。

  • 売れっ子芸人ビートたけしの非凡な発想をなんとかゲーム化したものの、「『攻略本を読んでも解けない』」(本書135ページ)という非常事態を引き起こした「たけしの挑戦状」
  • アーケードゲーム「ワンダーボーイ」のキャラを当時ゲーム名人として大人気だった高橋名人に差し替え、原作に劣らぬ難易度で名人のファンである子供を苦しめた「高橋名人の冒険島」
  • 当時超能力者として名をはせた、エスパー清田監修の超能力開発ゲーム(!)「マインドシーカー」

  いずれもファミコンの歴史に爪あとを残した伝説のクソゲーと言えましょう。図らずも、どのレビューも攻略記事のように書かれているので、そのクソゲーっぷりを誌上で堪能できるのではないかと思われます。

かつて、ファミコンはカオスであった

 80年代後半、日本の家庭用ゲームでは多分初めて、ファミコンを舞台に幾多のソフトハウスがしのぎを削っていました。それはパソコンゲームで起きていたものとは規模が格段に違っていました。その末に訪れた「無茶と無謀がごった煮されたカオスさ」(本書345ページ)の結果、一部の名作と数多くのクソゲーが生まれたのがファミコンブームという現象ではないでしょうか。

 本書は、その時代を俯瞰しようとするあまり整然としたラインナップになってしまい、あの混沌としたソフト群にまで手が回らなかったように思えます。

 相撲解説でおなじみのデーモン閣下が率いたバンド・聖飢魔IIをフィーチャーした「聖飢魔II 悪魔の逆襲」や、「スペースハリアー」+ギャルゲーの「アタックアニマル学園」など、さすがはクソゲーハンターというべきチョイスもされていますが、全体的に物足りない印象があります。

 著者の側にも不満があったのか、のちに続編の「超超ファミコン」が出版されるのですが、それはまた別の話。

「超ファミコン」阿部広樹・箭本進一・多根清史 著 太田出版 1200円+税

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