古来からのファンタジー作品で欠かせない動物といえば、オオカミ、キツネ、そしてタヌキ。「絵を描くためのキツネ・タヌキ・オオカミの写真集」(以下、本書)は実在のイヌ科動物から写真を集め、資料として使える一冊です。

野生のキツネと牧場のタヌキ、そして動物園のオオカミ
本書は作画用資料として編まれた写真集です。野生のキツネから牧場で飼われているキツネとタヌキ、動物園で飼育されているオオカミの写真で構成されており、四季ごとの写真と種類に分けられた各動物は絵になるベストショットが収められています。
特に、牧場で飼われているため自然では見られないキツネとタヌキのツーショットが見られるのは嬉しいところ。また野生のキツネが捕食する瞬間やオオカミが餌を食らう姿など、可愛い外見でも動物の本質が見える写真は我々に自然の姿を教えてくれます。
ほっそりか、モフモフか、それが問題だ
季節ごとに写真が分類されているということは、冬毛から夏毛への変遷が見られるということ。キツネにしろタヌキにしろ換毛期はどうしてもみすぼらしい見た目になりがちですが、すっきりした夏毛やモフモフな冬毛の姿はどちらも可愛らしく、特にタヌキの変わりようは一見の価値があります。
さてオオカミはどうかというと、本書においては明確な換毛期は見られませんが、代わりにホッキョクオオカミの白い毛並みはもちろん、同一種のシンリンオオカミでも黒やグレーの毛など個体によって差があり、やはりイヌと同じようなバリエーションが見られます。
イヌ科だから、子供は可愛い
イヌと同じといえば、本書に収められている子供の写真はいずれも無邪気で可愛いものです。キツネもオオカミも、親子で触れ合う姿は同じく微笑ましい印象を受けます。子供同士でじゃれあったり寝ている様子、身の回りに興味を示す姿など、種類に関わらず共通した可愛らしさがそこにあります。
動物園で飼われているがゆえに、オオカミには高齢個体の写真もあります。自然界ではまずお目にかかれないものであり、まるでイヌのように寝そべってあくびをしているその風体は幸せそうに見えると同時に、自然の厳しさから隔絶された人工的な空間に存在していることを思い知らされます。
見るもよし、描くのもよし
本書は冒頭に写真を元に描かれたキツネやタヌキの作画例が示されているようにあくまで創作の資料であり、写真そのものを使用することは認められていません。資料として使わなくても親子キツネのふれあいや逆光で映るタヌキなど画になる写真も多く、野生動物のたくましさや可愛らしさを堪能するには充分な内容です。
キツネやタヌキ、そしてオオカミはキャラクターとして使用されることも多いがゆえ意外に実際の姿を知らないものであります。そんな動物たちの理解を深めるにはもってこいの一冊であります。(Re)
「絵を描くためのキツネ・タヌキ・オオカミの写真集」CONTA・Cheng-Ren共著 マール社 2530円(税込)
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