PC-FXって知ってるかい?
独自のギャルゲー路線で突っ走ってたっていうぜ
当時はサターンとPS1の一騎打ち、ボヤボヤしてると後ろからバッサリだ!
3DOも64も、プレイディアもピピンも!
世界初、CD-ROMを搭載したゲーム機
本書は1987年に発売されたPCエンジンと94年に発売されたPC-FX(以下、FX)のハードとソフトを掲載したものです。電機メーカーのNECとソフトメーカーのハドソンが手を組んで開発したPCエンジンは、当初ファミコンを超える性能を持たせた上、カード型ROMによるソフトの供給を行っていました。
しかしファミコン一強の市場を崩すには至らず、1年後には拡張機器として世界初のゲーム機用CD−ROM ドライブ「CD-ROM2(シーディーロムロム)」を発売、ソフト媒体をCDで供給するゲーム機の先駆けとなりました。ハード一式にかかるコストの高さもあって普及には時間がかかりましたが、ここにPCエンジン独自のゲーム様式が生まれます。
動画再生までの遠い道のり
それは、従来のROMカートリッジをはるかに超えるデータ容量とCD録音の音声を使えることで成立するものでした。PCエンジン普及の立役者となった「イースⅠ・Ⅱ」はパソコン用ARPGの移植作であり、オリジナルの前後編2作を一枚に収録したうえ声優による音声を追加したビジュアルデモなど、本作はCD-ROMならではのグレードアップを図った一作になったのです。
当時のゲーム、特にパソコンゲームには「夢幻戦士ヴァリス」などビジュアルデモを用いたものがあり、アニメを意識した作りがうかがえます。PCエンジンにおけるそれは(デジタル紙芝居レベルだったとしても)、よりアニメに近い表現を可能にしました。デジタルによる動画再生など夢のまた夢だった時代に、ゲーム内でアニメの再現を目指したPCエンジンのゲーム表現は一部のユーザーに受け入れられたのです。
それを受け、後継機のFXが動画再生機能を売りにしたのはある種当然の成り行きだったかもしれません。
ギャルゲーハードだと思った?残念!
さて、FXはPCエンジン後期のギャルゲー路線を踏襲しつつ、パソコンのいわゆる美少女ゲームをほぼそのまま移植するなど、ニッチな市場を開拓することになります。それはPS1やサターンが主流の時代に、ポリゴン表示性能を持たないがゆえの独自戦略といえるでしょう。
しかし女性向けゲーム、いわゆる「乙女ゲーム」の元祖「アンジェリーク」シリーズの移植作がFXを支えたことはあまり知られていません。「シリーズ新作が発売されるたびにPC-FX本体の売上も伸びた」(本書173ページ)のは、オリジナルで出来なかったキャラクター音声とオープニングムービーを追加した部分が大きいと思われます。
(FXほどではないにせよ、動画再生機能も持つ)PS1やサターンに移植されたFX版ゲームは「アンジェリーク」の他にも「ブルーブレイカー」「ファイヤーウーマン纏組」「卒業R」などがあり、「販売不振と言われつつも、トータル62タイトルもリリースされた」(同172ページ)FXは、短いようで長いリリース期間を駆け抜けました。
歴史に燦然と輝く駄作機?
ファミコンやPS1に比べれば、失敗作や駄作機と呼ばれても仕方がないPCエンジンとFX。しかし、CD-ROM時代のRPGにおける基礎を築いた「天外魔境II」やギャルゲーという言葉の意味合いを一変させた「ときめきメモリアル」など、テレビゲームの歴史に一石を投じた作品もこのゲーム機でなければ生まれなかったのも事実。
そして、PCエンジンの歴史はバックアップの歴史でもあります。本書ではパスワードでは間に合わないほどのプレイデータを保存するため、様々な機器を生み出したその歴史を俯瞰できます。後にPS1のメモリーカードに取って代わられるとはいえ、その試行錯誤を無視するわけにはいきません。
言うなればファミコンが生み出したゲーム機ブームの中、その進化で必要な過程を担ったのがPCエンジンたちだったのかもしれません。本書でその歴史と試行錯誤を感じてみてはいかがでしょうか。(Re)
「PCエンジン&PC-FXパーフェクトカタログ」前田尋之 監修 ジーウォーク 2546円(税込)
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