最近の動物番組では、保護猫や地域猫に関する情報が増えてきました。猫が好きなだけでは片付けられない、猫を取り巻く環境にまつわる問題が増えているのでしょうか。「Nyaton 増補版」(以下、本書)は猫に関する知識を満載した一冊です。
(本記事では本書の表記に習って以降「ネコ」「ヒト」と表記する旨、ご了承のほどを)
可愛いだけじゃない、ネコにまつわる全て
本書は科学雑誌「Newton」の別冊です。「様々な面からネコを科学的に解明していく」(本書はじめに)「ネコの科学」と銘打って、現在までに知られているネコに関する知識を収めたものになっています。人間からみればミステリアスに映るネコの行動も、研究で判明したものが少なからずあり、発見があるでしょう。
イヌと並び、人間が飼うペットの代表格であるネコ。増補版にあたって、巻末にはネコに関する質問が追加されています。「ネコがどの感覚器を使ってヒトを認識しているのか」(本書138ページ)の質問については、視覚や聴覚などを総動員してヒトを区別している旨が語られます。
ニャンパラリ!ネコの身体能力
さらに「ネコは同居家族の名前と顔を覚えている」(本書18ページ)「ネコは声と表情を対応づけてヒトの感情を読み取る」(同25ページ)など、そっけない態度を取るように見えても思った以上にヒトとの関係を構築する能力に長けていることがわかります。
ネコといえば、高いところから落ちても体をひねって着地できる能力が特徴的ですが、これを科学的に理解するには「長年にわたって多くの科学者を悩ませました」(本書80ページ)。これも捕食者として身につけた高度の身体能力がなせる技であります。
ノラネコとヤマネコは共存できないのか
そもそもネコは、野生のリビアヤマネコを飼いならし品種改良の末に家畜化した動物であります。本来キジトラ柄であったリビアヤマネコから、ネコとなり白黒、三毛、シャム柄などのカラーバリエーションが出てきたのは、ヒトに飼われ生命を保証されたからこその結果でありましょう。
日本にも島で暮らすイリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコ、二種のヤマネコが生息しており、絶滅危惧種となっております。保護活動も行われていますが、残念ながらそうなった原因の一つは外来種であるいわゆる「ノラネコ」(本書の定義によれば「ノネコ」)との生存競争にありました。
ヒトの飼い方次第で、ネコは神にも悪魔にもなれる
ノネコを生み出したのはその繁殖力を知らなかったヒトの無知が一因であり、多頭飼育崩壊に限らず感染症拡大などの被害をもたらす結果となりました。近年ネコの室内飼いを推奨したり、不妊処置を施した「地域猫」の運動が活発なのは、そんなヒト側が責任をとるための行動といえます。
かつては神として崇められ、ある時には魔女の使い魔として迫害されたネコ。ヒトが可愛がるために近づいた以上、その付き合いには並々ならない覚悟と努力が必要となります。本書の情報はその一助となるでしょう。
「Nyaton 増補版」Newton編集部 編 ニュートンプレス 1980円(税込)