我々の身の回りにはうさん臭い商品が溢れています。それを見分ける方法はなかなか難しいものですが、「科学がつきとめた疑似科学」(以下、本書)は疑似科学の特徴を解説しつつ、それらに騙されないヒントをくれる一冊です。
突撃!となりの疑似科学
本書は「科学的であるかのように見えるが実は科学的とはいえない主張や言説、情報」(本書002ページ)と定義された疑似科学を解説したものです。表面上は紛らわしい疑似科学を、まず科学の概念をおさらいすることで、その見分け方を特徴的なイラストを加えてわかりやすく説明されています。
そもそも科学とは「仮説と検証のサイクルによって一定の法則やパターンを明らかにする」(同010ページ)ことで進んでいくものであり、そこに絶対的なものはなく、これまでの認識が覆されるのは珍しいことではありません。むしろ「絶対」を標榜するものこそ疑似科学と疑うべきでしょう。
信じること、証明すること、ジレンマはきりがない
本書では疑似科学的な考え方の例をいくつか示しています。その中でも「幽霊」に関するものは非常にわかりやすいのではないでしょうか。「『壁をすり抜ける』と『壁を叩く』という相反する物理現象が(中略)論理的に矛盾している」(本書032ページ)など、少なくとも現時点では、科学の俎上に載せるにはあまりにもお粗末な論理で構成されるものとわかるでしょう。
たとえ突飛な理論でも、証明されれば(とりあえずは)一般化されるわけですが、そのための方法として「ランダム化比較試験」や「メタ分析」などデータの信用性を高めることが重要であり、そこには人間の思い込み(バイアス)をできるだけ排除することが求められます。
「個人の感想」ほど信用ならない
そうして認められたものの例として漢方薬が挙げられますが、近年チョコレートなどに表示されるGABAの場合、血圧上昇を抑える効果は確認されるものの、同時に謳われているストレス軽減や睡眠の質の改善などについては疑問が残るところ。そもそもそう表示する「機能性表示食品」とは国が認める「トクホ」と違い「企業の自己責任制度」(本書157ページ)であるがゆえに、注意が必要になります。
「企業がそう言っているから」「専門家がそう言っているから」信じてしまうのは考えものです。それらは先の「確証バイアス」で信用してしまう人間心理につけこんだもので「個人の感想です」と同等であり、それこそが一番信用ならないと考えるべきでしょう。
君は賢く生き延びることができるか?
「『科学リテラシー』で賢く生き延びる」との副題がついた本書、それほどに現代社会には疑似科学が紛れ込んでいるわけで、それは人間心理を考えれば仕方のない部分もあります。その最たるものが陰謀論であり、「多くのことがある意味合理的に説明できてしまう」(本書179ページ)ために信じてしまいやすい傾向がありますが、そうならないためにも「基礎的な科学知識を身につける」(同)ことが必要となります。
いずれにしろ、地味とも見られる科学的なアプローチのお陰で現代社会の発展が形作られてきたわけです。本書で科学的な考え方を身に付けて、疑似科学に搾取されないようにしたいものです。
「科学がつきとめた疑似科学」山本輝太郎・石川幹人 著 エクスナレッジ 1980円(税込)