人体の描き方、特にマンガ・アニメ系の技法書には、なぞって描くドリル形式のものが少なからずあります。ただそれらは初心者向けゆえに物足りないのもチラホラ。「美しい身体の作画ドリル」(以下、本書)は毛色の違ったドリル形式の技法書です。
美しい身体とは、デフォルメと見つけたり
本書は、アニメーター出身のイラストレーターによる人体の描き方をドリル形式で解説したものです。見本をなぞり、単純化した素体やアタリから完成形に仕上げるなど、段階を踏んで描き方を練習する形になっており、著者による描きたくなるような見本がその特徴です。
タイトルとなっている「美しい身体」の定義は多様でありますが、著者としては「自分が思う理想の身体をぜひ追求してください」(本書12ページ)として、基本的なプロポーションとポーズを解説しつつ、リアルな人体像とデフォルメを加えた人体像を並べてその方法を提示しています。
マリオネットのようなポーズ作り
本書では美しさの要素としてポージングを重視しています。「全てのポーズの根幹は、胴と腰」(本書18ページ)と定義し、胴と腰の位置関係を決めることで手足のポーズが自動的に決まる、としています。また、それに伴う胴体のひねりは「まずは紙でイメージ」(同63ページ)するとよいでしょう。
本書で示す独自手法といえるのが「頭をつまんで体をブラブラ振る」(同19ページ)意識でポーズを考えること。マリオネットのようなイメージで頭につながった糸を振り回し、それに追随する胴体、さらに追随する腕と脚が作り出すポーズは想像するに楽しそうであります。
自分なりの「好き」にこだわろう
本書に収録されているのはほとんど女性像であることからか、胸と腰に関する情報が1章ずつ独立して解説されています。女性の魅力を象徴する部分でもあり、「柔らかな曲線にこだわろう」(本書90ページ)のモットーに基づいた解説や図像にあふれています。
ゆえに、本書で見本となるポーズには前かがみで胸を強調したものや、腰を反ってくびれと脚線美を魅せるなど、先のモットーに準じているのが多数あります。また、強調のため俯瞰とアオリのアングルで描かれた物もあり、想像で描くには難しいポーズもあって参考になるでしょう。
直接描き込まなくでもいいんだよ
近年の書籍では珍しくもない、QRコードを掲載してコンテンツを提供する方式。本書も例にもれず練習用イラストをダウンロードし、印刷するなり画像ソフトに読み込ませたりできます。本書がドリル形式なので、直接書き込まずに練習できるのはありがたい限り。
ともあれ、本書でもクロッキーを推奨しているように、絵の上達には練習が不可欠です。その上で自分なりのこだわりを盛り込んでいくのが「美しい身体」となるので、一つ一つ段階を踏んで本書を最大活用していきたいものです。
「美しい身体の作画ドリル」フジタク 著 SBクリエイティブ 1980円(税込)