1983年当時の子供はファミコンか、それともセガのゲーム機を買ってもらうか、もしくは他のゲーム機か、おおいに悩んだことでしょう。「増補新版アーリーセガパーフェクトカタログ」(以下、本書)は主にセガの初期ゲーム機について、その概要を収録した一冊です。
これはセガがファミコンに敗北し、逆襲を試みるまでの物語
本書は「パーフェクトカタログ」シリーズ内増補新版の一つで、ゲームハードとソフトを網羅し増補新版ならではの海外版ソフトも収録したものです。今回は主に1983年発売された「SC-3000」「SG-1000」から始まるセガの初期ゲーム機に関するものであり、本書の出版年がセガ・マークⅢ(以下、マークⅢ)40周年ということもあってアニバーサリー的な意味も持ちます。
以前語ったようにセガは、ファミコンと同時期にゲーム機を発売するもファミコンブームには勝てず、マークⅢの開発もむなしく、メガドライブ(以下、メガドラ)に望みを託す歴史がありました。本書はその時代のゲーム機に関しての情報が満載であります。
アレックスキッドとセガのキャラゲー
ファミコンブームの一因として「スーパーマリオブラザーズ」の存在は欠かせません。セガにもそれを意識したゲーム「アレックスキッドのミラクルワールド」があります。マークⅢとマイナーチェンジモデル・マスターシステム(以下、MS)を中心に、主人公アレクをフィーチャーしたゲームをシリーズ化、(メガドラ用ゲーム「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の主人公ソニックが誕生するまで)セガの看板キャラクターとなりました。
それ以前から84年にアニメ「超時空世紀オーガス」のゲーム化を皮切りに、セガはアニメ、映画などのキャラゲーを制作するようになります。さらに自社製品の光線銃玩具「ジリオン」をモチーフとしたアニメ「赤い光弾ジリオン」を放送、数々のスポンサード作品をゲーム化する中で「北斗の拳」など傑作を生み出していくなど、キャラゲーに関してはファミコンの任天堂より一歩抜きん出ていたといえます。
マスターシステムとゲームギアの相互関係
さて、本書では携帯機ゲームギア(以下、GG)の情報も収録されており、特に海外版ソフトのラインナップを見ると、MSとの共通タイトルが多いのが見られます。それもそのはず、この2台は兄弟機と言って差し支えないほど設計に共通する部分があるのですが、その相互関係は海外版にこそ顕著であります。
海外版はMSの人気が高かったことから、日本ではメガドラが主流になった90年代以降も「大魔界村」「ストライダー飛竜」「マイケル・ジャクソンズ ムーンウォーカー」までも(質はともかく)日本ではメガドラ用だったタイトルがMS用に作られました。そしてMSが下火になるのと同時にGGもその役目を終え、日本とは違いGGが携帯型MSのような扱いだったのは否めません。
よし、あの誤植はなくなった
本書ではアーケードゲームを中心にしていたセガがいかに家庭用ゲーム機に参入し、その戦略としてキャラクタービジネスも手掛けた経緯が解説されていますが、旧版では致命的な誤植があり、もちろん本書で修正されてその流れが俯瞰できます。
そしてゲーム雑誌「Beep」が当時唯一のセガ情報誌として、セガのファンいわゆる「セガ人(びと)」を生み出し、セガ人気の一端を形成してきたわけです。本書はその黎明期を著した数少ない資料として欠かせない一冊となっているのではないでしょうか。
「増補新版アーリーセガパーフェクトカタログ」前田尋之 監修 ジーウォーク 3300円(税込)