クリエーターのための人名ネーミング辞典

 例えば、ガンプラを改造してオリジナルのガンダムを作ったとしましょう。その時、ネーミングはどうしますか?あまり適当な名前は勧められません。「機動戦士ガンダム00」のガンダムなら天使の名前をつけたほうが無難でしょうし、「鉄血のオルフェンズ」のガンダムだったら悪魔の名前をつけないと設定に矛盾してしまいます。

 このようにネーミングにはある種の法則があるものです。その一助になるのが「クリエーターのための人名ネーミング辞典」(以下、本書)であります。


ネーミング辞典の老舗が送る人名辞典

 一つの言葉に何ヶ国語かの訳を並べた「ネーミング辞典」。一頃ファンタジーなど創作物に特化したものが各出版社から出ましたが、その先駆けである学研から出版された本書は一味違い、文字通り実在の人物や神話、伝承に出てくる人物の名前を網羅した辞典となっています。

 漫画、ラノベなど創作物のキャラクターにおけるネーミングを考慮しているため、「逆に名付けしにくい有名すぎる人は掲載していません」(本書まえがき)というところが特徴的です。

偉人から犯罪者まで

 「アメンホテプ1世、フィン・マックールから、ネイマール、マララ・ユスフザイまで」(本書オビ)というように、本書ではさまざまな人名を扱っていますが、王族、芸術家、作家などのカテゴリーに分けられた上で五十音順に掲載されています。

 人名とそのスペル、生没年、基本情報も三行程度とかなりシンプルな構成になっており、コンパクトなサイズの本に約3900人の名前が載っています。

 それとは別に、コラム扱いとして凶悪殺人犯の名前も載っています。悪役のネーミングでは参考になるとの判断でしょうが、本文より行数を割いて具体的な犯行が記述されているので読むときには注意が必要です。

簡易「神の辞典」

 人名カテゴリーの最後に神話の神々や聖書の人物が紹介されています。本書の約3分の1を占めるだけあって、各神話や伝承のカテゴリーに分けられ探しやすくなっています。

 神話に関する辞典というのはよくありますが、専門的なものになるとボリュームも値段もそれなりです。その点本書は手軽に神や天使、悪魔の名前を探すことができ、興味があれば他の資料で調べるきっかけになります。

 それでなくとも、本章ではそこかしこに見知った名前を見ることができます。先に挙げたガンダムシリーズに限らず、いろいろなアニメや漫画、ラノベで見られる名前の元ネタを探してみるのも一興でしょう。

調べるもよし、流し読むにもよし

 ネーミングと銘打っているだけに、本書巻末には「より良く使うための人名ネーミングマニュアル」というコーナーがあります。ネーミング辞典の定番、国別の発音による名前表記の違いを示した表から具体的なネーミング法まで少ページながら実用的な内容になっています。

 本書は本来の目的であるネーミングに使うだけではなく、流し読んで歴史上の人物の知識を得るもよし、神々の名前から世界にある神話の大まかな流れを知るもよしと、手軽な読み物としての側面もあります。

「クリエーターのための人名ネーミング辞典」学研辞典編集部 編 学研 1400円+税

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